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ジャパンカップを放って違うことしてたので見てませんが、ジェンティルドンナが勝ったとか。
切り札のネタ候補としてはアリだったかなあ。
まあでも何にせよ頭は有り得なかった。


web拍手お返事 思わぬところでありがとうございます。

>カレーマンさん

別に隠すほどのことはありませんが、技名については正解です。
一発で当てられるとそれはそれで悔しい……


>始めてこのサイトに訪れましたが 原典はあるとしてもSS描写が良いですなー ところどころ入場シーンもついてるし

今になってご新規さんが増えるとは思いませんでした。
ありがとうございます。

以前はほぼ完全に技とか試合を書いてみたくてSSやってましたけど、
最近はだいぶ試合は省略するようになった気がします。

そして最近は入場書いてる方が楽しい時もあったり。
完全に元ネタ準拠(内田とか)ならレッスルキャラで再現する楽しみがあるし、
美月や相羽は勝手に想像したり部分的にパクったりして作るのが楽しい。

正に妄想そのものですね。

>「入場」「リングイン」とSSで出ているので 「リングイン用コスチューム」の題材を使ったSSなども見てみたくなり…(過剰期待)

あ、いいですね。
ちょうど話の流れとしても内田に注目できるし。
そしてちょうど最近気になるガウンを見つけたんですよ。

ただちょっと考えてた話もあるので、その次になるかも知れません。


あとは神田の試合。
これはまた新たに別キャラを当てようかと。
本当は激闘龍で出したかった元ネタ設定キャラだけど、いつ使うかわからんし。

そういうわけで今日は上げられませんが、今週は平日のどっかで上げられれば。
次はまたサイン会系統のネタだと思われます。多分。
たまにこういうのを挟むのが楽しい。

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何になるでしょうか。
勝敗はお分かりかと思います。


web拍手お返事 試合中に間が空いてもありがとうございます。

>一瞬で入れ替わる攻防もプロレスの醍醐味です! こういう技は小柄な選手か、関節技の使い手がよく似合うと思います! 四者列強の前回と今回を勝ち抜いた内田、入場する美月の思惑は!? そろそろ神田の試合がまた見たいです

いやなんかもうホントありがとうございます。
しかし全部丸め込みってどうよ、と思われるかとも考えましたが、
結局こういう形の決着になりました。
そしてまた少し口の悪くなる美月でありました。

神田、確かにちょっと試合させてみたい気がします。
試合となれば、相羽、みこと、美冬、越後あたりか。
ちょっと考えさせてください。


>「カサドーラからの形からって言うと・・・」という技が何があるか想像する楽しみががが。どれだろう・・・(カレーマン)

実は、正解を見て「何それ?」と言われそうな気がして怖くなってきました。
マイナー技だし、ひょっとするとネタ元は最近使ってないかも……


といって、次からはしばらくだらだらさせます。
ここ最近はあんまりだらだらしてなかった。

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 パチパチパチパチ。
 右手にマイクを持ったまま、なんとも心のこもらない拍手をしながら、
 美月はリングまでゆっくりと歩を進めた。
 その左肩には、先ほど4人が挑戦権を争ったベルトが金色に輝いている。
「オメデトウゴザイマス」
 内田に相対した美月の口が機械的に動いた。
「……まあ、でも、内田先輩が挑戦者になってくれて本当に感謝してますよ。
 本当に心からです。だってこれで次は」
「「楽ができる」」
 内田が美月の発言を先読みしする。
 しかし、美月もそれがわかっていたかのように無反応だった。
「……って言うんでしょ。ひねくれたアンタの考えそうなことね」
「あなたに、いや、“お前に”ひねくれてるとか言われたくありません」
 お互い軽口の応酬だけで終わるかと思われたリング上、ここで一気に空気が悪くなった。
「さっきの4人で一番楽な相手が内田先輩だってこと、ここにいるお客さんは皆わかってますよ。
 だからこそ判官贔屓もあって応援されたんでしょうしね」
 普段それほどマイクアピールが得意でないはずの美月だが、
 何故か内田を前にするとこんなセリフがすらすらと出てくる。
「それに、さっきみたいな偶然はそうそう何度も起こりませんよ」
「……偶然、って丸め込みのこと?
 はっ、アンタなんかにわざわざ丸め込み使って勝とうなんて誰も思わないわよ」
 美月だけでなく、内田の言い分にも頷いてしまう観客たちであった。
「まあでも、そうね、そこまで言うなら予言してあげるわ。
 アンタに挑戦する王座戦、さっき伊達から3カウントを取ったのと同じ技で勝ってみせる」
 内田は真顔でそう言い切った。
「ハイハイ、そう言っておけば必殺技が決まりやすくなるとでも思ってるんでしょうけど、
 そんな見え透いたハッタリなんか誰も引っ掛かりませんよ」
 伊達に決めた丸め込みはラッキーキャプチャーと見せかけたフェイントである。
 どうせ今度は丸め込みと見せかけてラッキーキャプチャーだろ、
 というのが美月と観客の見るところであった。
「ハッタリかどうか、すぐに分からせてあげる。
 せいぜい次の防衛戦まで王者気分を満喫しておくことね。
 それと、ベルトはよく磨いておきなさい。次の持ち主のために」
 そう言って、内田はマイクを放って美月に背を向けた。
「もうちょっと気の利いたこと言うかと思いましたが、安い挑発ですね」
 リングを下りる内田の背中へ向けて美月が言う。
 勝手に言ってろ、とでも言いたげに、内田はもう美月に一瞥もくれることなく帰って行った。
(ふん)
 これまで何かにつけて皮肉の針でちくちくとやられてきた先輩相手に、
 上から目線で言いたいことを言えてスッとした美月であった。
 が、この時、美月は内田の予言が本気であることに気がついていない。
 というより、どうでもよかった。
 内田のことなので、裏の裏をかいて丸め込みを仕掛けてくることはあるかもしれない。
 といって丸め込みで自分が負けるとはとても思えない美月である。
 ただし、美月は一つ思い違いをしていた。
 「同じ技で勝つ」ということが、すなわち「丸め込みで勝つ」ということにはならないのである。

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by right-o | 2012-11-19 23:35 | 書き物
 両膝立ちの内田がゆっくりと立ち上がるのに合わせ、
 伊達はコーナーから進み出ると、仕切り直しとばかりに右足を抜き放った。
「げほっ……!」
 鞭を打ちつけるようなミドルキックを内田の胸板に放ち、
 反撃がこないと見るや再度渾身の一撃を打ち込んで内田を倒した。
 さらに肩を掴んで内田の上体を起こし、背中へのローキック。
「………!!」
 呼吸すら止まる痛みに、内田は声も上げられないまま悶える
 そこへ今度は正面から走り込んでのローキック。
 間髪入れず覆い被さってカバーへ。
 内田はなんとかギリギリで肩を上げてクリア。
 伊達の圧倒的な攻撃力の前に、以後数分にわたって内田はひたすら耐えることを強いられた。


(……これ以上は、生きてるのが嫌になりそう)
 蹴られ過ぎて痛みの感覚が麻痺してきた頃になって、逆転のチャンスはようやく訪れた。
 コーナーの前で棒立ちにさせた内田の脇を走り過ぎて行き、伊達はひとっ飛びでコーナーに飛び乗る。
 内田の粘りに業を煮やした伊達は、頭を狙って黙らせる手に出た。
 背後から三角飛び式の延髄斬り。
 しかし、コーナーを蹴ってリング内を振り向いた伊達の視界には、
 内田の後頭部はおろか姿そのものが影も形も無かった。
「っ!」
 咄嗟に着地へ切り替えようとするも足が動かない。
 逆さまになった内田が伊達の両足に張り付いていた。
「捕まえ、た……っと!」
 二人は同体となってマットを転がり、
 リング中央で止まった時には内田の膝十字固めが極まっている。
 伊達の三角飛びに合わせて自分から飛びついた内田は、始めからこれを狙っていた。
 極限まで追い込まれての見事なカウンターに会場は沸き返り、
 その熱狂の中心で、伊達がマットを掻いて必死で逃れようとしている。
 もちろん内田がこのチャンスを簡単に手放すはずもなく、伊達の右足をへし折る勢いで極め続けた。
 それでも暫く後、伊達の手はどうにかロープを掴みかける。
「ちっ」
 再度引き戻すべく内田が一瞬技を解いた隙をつき、伊達は片膝立ちのままで振り向いた。
「しまっ……た」
 と、内田が思ったのは、伊達を立たせてしまったからではなく、
 伊達を止めようとした勢いのまま前へ突っ込んでしまったからだった。
 立ち上がると同時、伊達は前のめりになっていた内田の腹部に膝を突き刺す。
 そのままブレーンバスターの体勢に入ったとことで、客席からは「あー……」という溜息が聞かれた。
 美月を仕留めた技でもある旋回式ブレーンバスタ―は、
 いくつかある伊達の必殺技の中で最も代表的な一つである。
 内田の体が垂直に持ち上げられたところで、試合は終わったと誰もが思った。
(まだまだ、勝負を急ぎ過ぎ……ッ!)
 しかし、この日の内田は終わらなかった。
 あとはマットに突き刺さるだけの姿勢から、内田逆さのまま伊達の頭頂部へ膝蹴り。
 間髪入れず体を前に倒し、首を抱え返してDDTで伊達をマットへ突き刺さした。
 伊達の頭が跳ねて仰向けになるほどの衝撃。
 再度の逆転劇に湧き返る歓声の中、満身創痍の内田は背中で這ってロープへ向かい、
 ロープを支えにようやく立ち上がる。
 息を整えた内田は、ロープによりかかって天井を仰いだ。
 目の前では、伊達が不意を突かれたダメージから立ち直りつつある。
 ほんの一瞬だけ間を置いたあと、内田は意を決して口を開いた。
「ラッキィィィィィ……!!」
 思い返せば相方から強制されて始めた必殺技宣言だったが、それがこの場面では有効に働く。
『『キャプチャー!!!』』
 基本的に判官贔屓な会場のファンたちは、一斉に声を合わせて内田に応えてくれた。
 立ち上がった伊達へ向けて踏み切り、空中で反転して背中をみせつつ、
 伊達の胴を両足で挟み込む。
 そこから上体を前傾させて伊達の股をくぐりつつ膝十字固めへ――
 いかずに、みことを降したの同じ形でくるりと丸め込んだ。


 最後まで無表情を貫いた伊達だが、リングを下りる際は明らかに不満そうなオーラを漂わせていた。
「……また余計な敵を作ったかしら」
 そんな伊達の姿をコーナーに座り込んで見送る内田であった。
 さて、と勝者はそこから一息吐いて立ち上がる。
 何か喋ってやろうとマイクを要求しようとしたところで、不意に美月の入場曲が鳴り響いた。

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by right-o | 2012-11-17 19:15 | 書き物
やってみました。

いつも以上にこう、何やってるかわからないかも……


web拍手お返事 どうもありがとうございます。

>欲に目がくらむと良くないことがわかりました(天皇賞)。4WAYぐらいだとなんか素敵な丸め込みとかで決まることもあるのかなぁ、とか思ったり思わなかったり。(カレーマン)

それしかないですよねー。
というわけで丸め込み連発です。
あと一人残っちゃってますけど。

私の好調は天皇賞で終わったっぽいです。

……でもどんなに運が良くて勘が冴えていても、
エリ女で相談役の頭なんて買えない。


さー、ラスト一人どうしましょうかねー。
さっさと美月戦、というかその後に行きたい。
ネタ回が挟めないんだよなぁ。

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 リング上、四隅に陣取ったレスラー達は、それぞれが全く異なる表情でゴングを聞いた。
 への字口で宙空を睨みつけるみこと、不敵な薄ら笑いを口元に浮かべる六角、
 まるで能面のように無表情な伊達、そして一人じっと目を閉じ俯いた内田。
(“せいぜい頑張ってください”、ね)
 頭の中で、美月が精一杯の嫌味をこめて囁いた言葉が蘇る。
(言ってくれるじゃないのチャンピオン様)
 静かに目を開いた内田は、背中を反らせて大きく息を吸い込み、
 長く細く空気を吐き出しながら再度気持ちを落ち着けた。
 内田をこの挑戦者決定戦の場に立たせた動機は一つ。
 “アイツにできて、自分にできないはずはない”
 夜中の道場で泣いていたような出来損ないが、いつの間にか自分を見下ろしているのだ。
 内田には到底納得のいく事態ではない。
 神楽に出し抜けをくらったものの、本来ならすぐにでも美月に挑戦してやりたいところであった。
 だが今、美月と対戦するためにはこの試合で勝ち残らなければならない。
 内田にしてみれば、王座戦よりもこちらの方が余程大きな壁に思える。
 

 ゴングと同時に突っ掛かって行くような粗忽者は誰もおらず、
 四人はゆっくりとコーナーを離れ、リンの中央をぐるり囲んで拮抗した。
 さて、と内田は横にいる六角の表情を盗み見る。
 内田の見るところ、王座への挑戦権を求めてこの試合に出てきた四人の中でも、
 それぞれモチベーションには微妙に差があった。
 中でも六角は、とても今になってベルトに興味を持つとは思えない。
 それでもこの場に出てきたことについては、何かしらの事情が感じられる。
 だがそこまで思いを巡らせる暇も無く、当の六角からほんの小さくウインクが送られてきた。
(やっぱり)
 事前に申し合わせていたかのような自然さで、内田と六角は同時にまず伊達へ襲い掛かった。
 爪先を二つ伊達の腹部に蹴り込み、怯んだ伊達をあっという間に場外へ放り投げると、
 返す刀でみことにも攻撃。
 二人掛かりでロープに押し込んで反対側へ飛ばし、跳ね返ってきたところへダブルのドロップキック。
 ちっちっち、と向かい合って指を振る仕草を見せた二人には軽いブーイングが起こった。
「くっ……」
 卑怯な不意打ちを受けたみことを六角が引き起こす間に、
 内田はリングに上がろうとしていた伊達をスライディングキックで場外フェンスまで吹き飛ばす。
「さっさと仕上げるよ」
 みことを赤コーナーに振ってから、内田は対角青コーナーに控える六角の腕を掴み、
 反対側に向かって撃ち出した。
 六角から内田の順で串刺し式の連続攻撃を仕掛けようとしたのだが、
「……舐めるなッ!」
 六角とは対照的に、普段から五割増しで気合の入っているみことは、
 自分からコーナーを飛び出して六角の脇をすり抜けた。
「いッ……!?」
 ちょうど走り出したところだった内田の顎へ、かち上げるよう軌道で右の掌底一閃。
 さらに振り返ると同時、背後に迫っていた六角にも返す刀で左の賞底。
 ふん、と、一瞬で二人を片付けたみことが肩をそびやかすと、
 彼女を支持するファンからは熱狂的な声援が送られた。
「……まだ私が」
 そんなみことに、リングに上がって来ていた伊達が、後ろからわざわざ声をかけた。
 みことが完全に向き直るのを待ってから、その胸板へ強烈なミドルキック。
 歯を食いしばって耐えたみことが逆水平を返し、さらに伊達が蹴り返す。
 このやり取りが延々繰り返される様を見つつ、
 六角と内田は背中で這ってそれぞれ反対のコーナーまで後退。
「ぐぅっ……」
 ミドルと逆水平を交換すること十数回、ついにみことの動きが止まった。
 すかさず伊達は素早い左右の掌底からローキックを叩き込み、
 膝をつかせたみことへ更に強烈なミドルキック。
 上体を大きく反らしながらも、みことはこれに耐えた。
 ならばと伊達はロープに飛び、立ち上がりかけたみことの顔面に向けて右足を大きく突き出した。
 走り込んだ勢いそのままの前蹴りに、額を打ち抜かれたみことはその場で一回転。
「スキありっ、と」
 みことを倒した伊達の斜め後ろから、
 漁夫の利を伺っていた内田のフライングニールキックが側頭部を刈り取った。
 しかし、したり顔の内田が立ち上がったところへ、今度は横から六角の右足が顎を捉えた。
 無言の協力関係があっさり破棄された瞬間である。
 美月などを見よう見まねで放った六角のトラースキックは綺麗に入ったが、
 得意げな六角が長い足を見せびらかすようにゆっくりと戻しているところへ向け、
 いきなり立ち上がったみことがマットを踏み切っていた。
 空中で体を丸めて前転してつつ、振り上げた右足を六角の顔面に叩きつける。
 六角を薙ぎ倒しながら、そのみこともダメージから立ち上がることができず、
 リング上では四者全員が一時的に倒れ込んでいた。
 客席からはそれぞれに向けた声援が一斉に注がれ、
 全員が重たく痛む頭を振ってどうにか起き上がろうともがく。
「ちっ」
 ふらつきながらも内田は一番先に立ちあがる。
 顎を押さえながら千鳥足で数歩踏み出し、そしてすぐに起き上がったことを後悔した。
 背後から伸びてきた腕が、先ほど六角に蹴り飛ばされた顎を下から掴んでいた。
(げっ)
 間の悪いことに、遅れて立ち上がったみことの目の前に内田の背中があった。
 みことは迷うことなく仕留めにかかる。
 魔投などと形容されることもある、みことの必殺技、兜落としを耐えた者はいない。
 というか内田には、怪我人と死人がまだ出ていないのが不思議であった。
 相手の頭を完全に固定した上、裏投げの形で背後に真っ逆さま、という技である。
 どう考えても首が折れると思うのだが、何故か対戦相手はフォールを奪われるだけで済んでいる。
 ともあれ、この技を喰らうわけにはいかない。
 バックエルボーで振りほどく間もなく体が持ち上がりかけたので、
 内田は慌てて両足をみことの胴体に巻きつけた。
 エビ反りになりながら両足を開いて背後の相手を挟みこむ、という器用な体勢で、
 内田は必死の抵抗を試みる。
「この……ッ!」
 みことは構わず、そのままブリッジするように反り投げて内田の頭を叩きつけようとした。
 察した内田は覚悟を決めかけたが、不意に自分を持ち上げる力がゆるむのを感じ
 次いで顎を掴んでいたみことの手が離れた。
 すかさず内田は体を前傾させ、前のめりになってみことの股をくぐり抜けつつ、
 胴体を挟んでいた両足を滑らせて両脇に引っ掛ける。
 そのままみことを前方に引き倒し、目の前にきた両足を掴んで押さえ込む。
 そこへ先ほどみことの後頭部にハイキックを見舞って内田を助けた六角が、
 上から圧し掛かって加勢する。
 この体勢のまま無情にもカウント3が数えられ、みことがこの試合最初の脱落者となった。


「なッ……!?」
 呆気にとられたみことの悔しげな表情を見ている暇は、内田にはなかった。
 フォールを解いて立ち上がると同時、後ろから今度は首に腕が巻き付いてくる。
「いや悪いねぇ」
 耳元で楽しそうに六角が囁きかけた。
 内田の見るとおり、六角は必死でこの試合に勝とうとしているわけではないが、
 積極的に負ける理由もない。
 内田をアシストしてみことを敗退させたあと、
 つい無防備に背中を向けていた内田に襲い掛かったのだった。
 スリーパーホールドは完全に極まっていたが、スタンディングの状態ならばまだ抵抗できる。
 が、六角は体を捻り、スリーパーを極めたまま内田に背中を向け、
 内田を背負うような体勢をとろうとしている。
 このまま相手をうつ伏せにマットへ叩きつけてバックスリーパーに移行するのが
 六角の必勝パターンであり、そうなればロープが間近にない限り脱出は不可能。
(イチか、バチか……っ)
 内田は自分からマットを蹴って六角の背中に乗った。
 そのまま両足を上げて六角の上で一回転し、反対側に着地。
「お?」
 この間も六角はスリーパーを放さなかったため、内田は頭から六角の下に潜り込むような形。
 咄嗟に内田は六角の後頭部を掴み、逆の手で足を抱え込む。
 そのまま自分の体を捻ることで六角を前に転がして両肩をつけ、足を掴んで必死に押さえつけた。
「げぇっ、ちょ……ッ!?」
 レフェリーの手が三回マットを叩くのと六角が内田を跳ね除けるのと、ほぼ同時であった。


 六角は身振り手振りで、自分がちゃんと肩を上げたことと内田が髪を掴んでいたことを
 レフェリーに抗議していたが、それでも覆らないとわかると口を尖らせて帰って行った。
「ふぅ――」
 マットに両膝をついた姿勢のまま、内田は大きく溜息を吐いた。
 こうしていても、残る一人が襲いかかってくることはない。
 その代わり、他の対戦相手という不確定要素の無い中、一対一で戦わねばならない。
 伊達は、いつの間にか一人我関せずという態度でコーナーに寄りかかっていた。
 ここからが、本番である。

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by right-o | 2012-11-11 22:41 | 書き物