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実は4月から別組織に出向のため転居します。
といっても同じ埼玉県内ですけどね。

去年の4月で福岡から埼玉に転勤してきて、まさかまた一年で異動になるとは。

そういうわけで、暫くネットに繋がらなくなるのでブログをお休みします。

多分2週間ぐらいでしょうか。

まー、最近は週一更新のペースも守れるかあやしかったぐらいですから、

あんまり関係ないかも知れませんが。

そういうことで。

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by right-o | 2012-03-31 08:24 | その他
もうちょっとしっかりエロをやるべきだったのかも。

何かやっぱりレッスルでやるのは抵抗あるんだよな……


web拍手お返事 また遅くなりましたがありがとうございます。

>相羽、初ベルトおめでとう!引退を撤回したしのぶと共に、防衛記録更新してほしいですね。美月に関しては、頭脳キャラの王道(計算とは違い、最後には負ける)で、ある意味らしいやられ方でしたね。他にも相羽と美月の成長の差(指導>遠征)で「2人の才能の差がもろ現れたな」と思いました。

実は、相羽からではなく越後から3カウントを取られる、という点にこだわりました。
まあどうでもいいんですけどね。
ともあれ、これで相羽の格が上がりました。


さて、この後は淡々とVS神楽戦をこなし、その後をどうしようかというところです。

どこかでベルトを落とさなきゃ次に進めんのですが、誰に挑戦させるのがいいのか。

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 福岡での興行終了後、美月たちは新幹線で帰京の途についた。
 その車内、一つ前の座席を回転させてボックス席としたところに、
 美月、神田、相羽、そして越後の四人が向かい合って座っている。
「……美月ちゃん、次大丈夫なの?」
「……どうでしょうか」
 つい数時間前激しくやり合っていた人間から、美月は心配されていた。
「恐らくまた、今日みたいに無茶苦茶な試合形式を要求してくるに決まってますよ!」
「そしてチャンピオンであればなおのこと、挑戦者の要求を受けて立たずにはいられないわけだな」
 同じく心配顔の神田に、越後だけがそう淡々と応じる。
 四人とも、頭の中には先ほど見たリング上の無残な光景が生々しく刻まれていた。


 「参った」と言った方が負け、という、ある意味これ以上無いほど単純なルールは、
 裏を返せば当人以外は誰も試合を止められない危険なルールでもある。
 神楽が提案したルールを美冬が飲む形で決まったこの試合、事実上は何でもアリに等しい。
 その試合のゴングが鳴った瞬間、神楽は美冬に背を向け、猛ダッシュで場外へ滑り出た。
「なっ!?」
 喧嘩を売っておきながら即逃げの姿勢を見せた神楽を、美冬はバカ正直に追いかける。
 そして何やらリングの下をゴソゴソとやっている神楽の頭を、
 ロープから身を乗り出して掴もうとしたところ、
 咄嗟に体を起こした神楽が美冬へ竹刀で一撃。
 肩と頭に竹刀を打ちこみ、反対に下から掴んで美冬を場外に引き摺り出した。
「使えるものは、使わなきゃねぇッ!?」
 場外の鉄柵に美冬を振った神楽は、助走をつけて思い切り竹刀を叩きつける。
 美冬は、背にしていた鉄柵を乗り越えて観客席の中に墜落していった。

 奇襲に面食らった美冬だが、そこは元世界王者だけあり、
 ただやられたままというわけではなかった。
 観客席に叩きこまれた美冬に、神楽はまずイスを上から投げつける。
 二つ、三つと無造作に美冬の背中へ叩きつけたあと、
 仕上げとばかりに今度は持ったままのイスを振り下ろそうとした時、
「シィッ」
 フロアに這いつくばったままの姿勢から美冬が躍動した。
 イスを振り下ろしかけていた神楽の顔面へ、一瞬で飛び上がっての雷迅蹴。
 起死回生の瞬間を目撃し、会場は驚嘆の歓声に湧き返った。
(や、ヤバかった……)
 が、昏倒させられたかに見えた神楽は、倒されながらもまだ意識を保っている。
 イスを振り下ろしかけていたお陰で、顔の前に出ていた両腕が美冬の足をブロックする形になったようだ。
 そんな神楽をリングに戻そうと、美冬が右手で頭を掴んだが、すぐに両手で持ち直し、
 イスの倒れた観客席の中を引き摺って行く。
 おや、と神楽の唇が誰にも見えないところで歪んだ。
 神楽をリングに入れた美冬は、まずボディに膝を突き刺し、ついでミドルキックで上体を跳ね上げ、
 更に左右のローから左ハイキック。
「……っぐ」
 咄嗟に右腕を上げてガードしたものの、そのハイキックの衝撃は頭を揺らし、
 美冬にもたれかかるような形で前のめりに――倒れようとしたところで神楽は美冬の右腕を捉え、
 自分からその場に倒れ込む形のアームブリーカー。
「痛ッ」
 美冬は思わず肘を庇ってマットに転がった。
 美月戦から約一カ月だが、まだあの時の傷が完治していなかったようである。
 このスキに、神楽は再度場外に下りてごそごそとリング下を漁った。
 試合前に何か仕込んでおいたことは間違い無いが、
 そもそもこのルールでは何をしようが誰からも咎められることはない。
 けけけ……と邪悪な笑みを浮かべた神楽の腰と腕に、会場の照明を受けて光る何かが装備されていた。
「……この程度っ!」
 リングに上がった神楽へ、美冬は果敢にも痛めた右腕で掌底を放った。
「うっぐ」
 頬を捉えた一発は、腕を痛めていてさえ神楽を怯ませ、一歩退かせる。
 が、お返しとばかりに神楽が振るった右拳は一撃で美冬からダウンを奪った。
「効いたわぁ……」
 自分の頬を撫でながら美冬を見下ろす神楽の右手には、鎖が巻かれていた。
 そして仰向けに倒れた美冬の頭を左手で掴んで起こし、その額へ鎖を巻いた右拳を連打。
 最後に大きく弓を引いて殴りつけたあとには、鎖から血が滴っていた。
 それでも美冬は、半ば神楽に縋るような形になりながらも立ち上がろうとする。
「うぇ」
 触るな気持ち悪い、とばかりに神楽は膝を入れて美冬を屈ませると、
 すかさずその頭を右の脇に抱えつつ左手で腰のあたりを掴み、相手を持ち上げながら自分もジャンプ。
 自分も飛び上がることで落差と角度をつけたDDTで、美冬をマットに叩きつけた。
 そして足で美冬を裏返し、首元を右足で踏みつける。
「“参りました”は?」
「誰が……言うか……っ!」
 ボロボロになりながらも、美冬は敗北を拒否した。
「あっそ」
 神楽は、美冬の首に置いていた足を右肘の上に移し、体重をかけながら踵でぐりぐりと踏みつける。
 美冬は歯を食いしばって耐えていた。
 暫くして、神楽はその反応にも飽きた。
「あんまり酷いことしたくなかったんだけど、あんた強情だからしょうがないわよね……」
 言葉とは裏腹、神楽は何か楽しそうに美冬をコーナーまで引き摺って行く。
 そこでふと、美冬は右手首に冷たい感触を覚えた。
「!?」
 ついで右腕を引っ張られ、その先のトップロープと自分の腕が手錠で繋がれているのを見た。
 呆気にとられる暇も無く、さらに左手がコーナーを挟んだ反対側のロープへ繋がれる。
 二つの手錠は、神楽が場外から腰に手挟んで持っていたものであった。
「さーてぇ……」
 両手を後ろ手にロープへ繋がれた美冬の前で、神楽は腕に巻いていた鎖をするすると解き、
 その端を右手に持って振りかぶる。
 強烈な歓声とブーイングが半々の中、神楽はまた意地悪く微笑んだ。
「ここら辺でやめといた方がいいと思うんだけど、どうするぅ?」
「誰が……ぐッ!?」
 美冬が言い終わるのを待たず、神楽が振るった鎖が鉄の鞭となって美冬の右腕を打つ。
「じゃーあ、仕方がないわねぇ……!」
 心の底から楽しそうに、神楽が笑った。

 それから数分後。
 美冬は、両膝をついていた。
 露出の多い肌には一様に赤いみみず腫れが走り、所々丸い痣になっている箇所もある。
 それでも美冬は、勝負を投げていなかった。
「……頑張るわねぇ」
 ただし、神楽もまだ美冬を痛めつけることに飽きてはいない。
 神楽は鎖を放り投げると、動けない美冬に近づいて膝をつき、顔の高さを合わせる。
 そして神楽は、美冬の腰にある、
 胴丸のようなコスチュームにかかっている紐の結び目をしゅるりと解いた。
「なに、を……?」
「何って、勝つための手段よ」
 言うが早いか、その部分を取り外してがらりと放り投げた。
「あんたをここで丸裸にしてさぁ、それでも負けを認めないってなら、
 あたしが“まいった”って言ってやるわ」
 神楽は、美冬の耳に口をつけながらそう囁いた。
「バカな……っ!?」
 美冬が反応するより早く、神楽は短い和服状の美冬のコスチュームの襟を掴み、前を開けた。
「……っと、コスチュームの下が直に真っ裸ってことはないか」
 下は、襦袢であった。
「ん、でも汗で肌に張り付いてるってことは、この下は、と……」
 重ね合わせの隙間から、神楽の手が差し入れられようとした時、
「やめ……」
「ん?なに?」
 神楽は、差し入れかけた手を止めた。
「聞こえないんだけど」
「ッッ!?」
 焦れた神楽は、美冬の胸を襦袢の上から思いっ切り鷲掴んだ。
「やめ……やめろ」
「……やめろ?」
 不満げな神楽の指が、一層美冬の肌に食い込む。
「やめて、ください……まいりました、から……」
 こうして、いつの間にか三十分を越えていた長い試合がようやく終わりを迎えた。


「あれは暫く立ち直れんのだろうなあ」
 美冬の様子を思い返し、越後が呟いた。
 試合後、美月と神楽がやり取りしている間も手錠に繋がれたまま放置されていた美冬は、
 その後ぐったりした様子でみことに担がれて退場して行った。
 身体以上に心のダメージは相当だろう。
「やはり、先輩との試合も同じルールで……」
「いや、多分それはないな。
 多分、神楽は美冬をあんな目に遭わせることを始めから考えた上で、あの試合形式を要求した」
 心配げな神田に越後が即答した。
「え、っと……それはつまり?」
「だから、最初から美冬を辱める目的であの試合を選んだってこと」
「いや、美月ちゃんだって同じことされるかもしれないんじゃ?」
 美月より早く、相羽の方が聞きたかったことを聞いてくれた。
「んー、まあはっきり言えば、こんなちんちくりん苛めても面白くないと思う」
「……ほう」
 ウソウソ、と苦笑して誤魔化そうとする越後を、美月は思いっ切り睨みつける。
 勝利の余韻か、越後にしては珍しい冗談であった。

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by right-o | 2012-03-25 21:39 | 書き物
『実を言えば……この試合が決まる前から、今日で引退するつもりでした』
 試合後、ベルトを巻いた越後は、マイクを持ってこう切り出した。
『それをコイツが、あたしを無理矢理こんな舞台に引っ張り出した上、
 人が最後と思って感傷に浸ってるところをぶっ叩いて働かせてくれた……!』
 越後は、傍らに寄り添う相羽の、汗だくの頭を力一杯撫でまわす。
『お陰で目が覚めた!まだこんな中堅で燻ったままで終われるか!
 これからまだまだコイツと一緒に目立ってやるから、応援よろしくお願いしますッ!!』
 思いもよらないベテランの復活に対し、観客は一様に大きな声援をもって支持してくれる。
 そんな中、満身創痍の新タッグ王者は互いに寄り添う形で記念写真に収まった。
 

 一方、フラッシュと歓声を浴びる勝者たちを背に、すごすごと引き上げて来た美月たち。
「……なんか、すいませんでしたね」
「いえ、私こそ……」
 二人しかいない控室は、どんよりとしていた。
 パイプイスに向かい合って座った二人は、共にタオルを頭から被ってうなだれている。
 油断ならない相手ではあったが、正直言って負けるとは思っていなかった。
 越後によって身体的・精神的に成長を遂げた相羽の実力も、
 その越後自身の経験や勝負強さも、計算づくのつもりであったのだが。
 伊達に力づくで叩き潰された時、また美冬にレフェリーストップで不本意な敗北を喫した時とも違う、
 美月にとって腑に落ちない負け方であった。
(一人の負けじゃあ、ないってことか)
 神田と組むことで初のタッグ王者となり、防衛を重ねることその後二回。
 越後と相羽ほどではないにしろ、美月も神田に指導のようなことをし、
 互いに影響しあうことで実力を高めあってきた。
 そうしてタッグとしての自信を深めつつあった矢先の躓きである。
「……これで終わりというわけではありません。また、やり直しましょう」
「そうですね。……もう一度、挑戦しましょう」
 長い沈黙の後、ようやくそれだけの言葉を絞り出し、二人が帰り支度を始めようとした時、
「美月先輩!」
 控室の扉を勢いよく開き、慌てた早瀬が飛び込んできた。
「早く来てくださいっ!次期挑戦者に呼ばれてますっ!!」


 早瀬に引っ張られる形で入場ゲートの裏まで連れられて来た美月は、
 そのまま背中を突き飛ばされるようにして再度観客の前に姿を現すこととなる。
『遅っそいじゃないのチャンピオン!さっきからずっと呼んでたんだから』
 神楽が呼ぶリングの上を見た美月は、そのまま凍りついてしまった。
 それぐらい、リング上の勝者と敗者はあまりにも対照的だった。
 片や汗一つかかず余裕の表情で不敵な笑みを浮かべる神楽に対し、
 美冬の姿はあまりにも惨め過ぎた。
 ところどころコスチュームは破れ、露出した肌には真っ赤な痣が走っている。
 そしてその右手は、なんと手錠でトップロープと繋がれていた。
 右手を繋がれたままその場に崩おれる美冬の表情は窺えないが、
 恐らくは羞恥のために震えていることだろう。
『さあ、本番はどんな試合がいいかしらね?』
 もう一つのベルトを守るため、美月に敗戦を引き摺っている暇はなかった。

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by right-o | 2012-03-13 22:51 | 書き物
「ようし……ッ!」
 タッチを受けた越後はすぐリングに入ろうとせず、
 エプロンを伝って中央付近まで行き、リング内を向いてトップロープを掴む。
 狙うのは、顎を跳ね上げられたダメージから足元をふらつかせる美月の頭。
 エプロンから一気に飛び上がり、両足の裏でしっかりとトップロープを捉えた。
「先輩っ!!」
 神田の叫びも空しく、リング内に向けて飛び上がった越後は、
 スワンダイブ式のドロップキックで美月の後頭部を蹴り飛ばした。
 華麗さは無いが、勢いと説得力を感じさせる越後の得意技であったが、
 最近では滅多に見られなかった。
 前につんのめる形でダウンさせられた美月は、
 続けて頭部に大ダメージを負わされたため容易に起き上がれない。
「ちっ……」
 鈍く痛む頭をどうにか持ち上げかけたところで、
 越後の手が美月を無理矢理リング中央へ引き摺っていく。
 頭を押さえて前傾姿勢にさせた美月の額を、越後は容赦無くステップキックで蹴り上げた。
「ぐっ」
 靴紐の跡が残るほど強烈に蹴り上げられ、強制的に顔を上げさせられる。
 そこへ間髪入れず越後の強烈な張り手。
「どうしたっ!?」
 踏ん張って耐えた美月に対し、越後は打ってこいとばかりに挑発する。
 思わず美月が張り返し、越後もまた美月の顔を張った。
(付き合ってられるかっ)
 何度か張り手の応酬を繰り返したあと、美月は早々にこれを切り上げるべくロープを使った。
 反動をつけた美月のエルボーを仁王立ちで受け止め、今度は自分の番と越後がロープへ走る。
 その戻ってきたところを見計らい、美月は越後の膝を低空ドロップキックで打ち抜き、
 そのままさっさと神田にタッチした。
「うおおおお……っ!?」
 が、勢い良く飛び出した神田を、
 既に立ち上がっていた越後はカウンターのパワースラムで切り返した。
 これを神田はカウント2で返したが、越後はすぐさま引き起こしてコーナーに叩きつける。
 コーナーを背にした神田へ膝を入れて怯ませ、両足を払って尻餅をつかせた。
「よっしゃいくぞー!!」
 青コーナーに控える相羽と一緒に観客を煽っておいてから、
 越後は、リングシューズの側面で擦るように神田の顔を蹴る。
 おい、おい、おい、と、何度も同じように神田の顔を擦るにつれ、
 相羽と観客が声を揃えて越後を囃し、その声に後押しされた越後は、
 最後にコーナー間を往復する形で助走をつけ、思い切り神田の顔を蹴り飛ばした。
「よぉーしっ!!」
 越後しのぶ、数年来なかった好調ぶりである。

(何かあるな……)
 越後たちとは、挑戦表明からこの日まで何度か前哨戦を戦う機会があった。
 その際、相羽については元々かなり気合が入っていたが、
 越後については特段どうという感想もなく、どちからというと影が薄かった。
 気がつけばこの団体の所属レスラー中最年長となっていた越後は、
 既に半分コーチのような存在であり、特にここ最近は存在感が希薄となっている。
 そろそろ引退するのではないか――というのが大方の見方だったため、
 相羽がパートナーとして名前を上げた時は、大体の人がかなり意外だと感じたものである。
 それが本番に来てこの奮闘ぶり。
 試合開始直後の相羽とのやり取りが原因かどうかわからないが、
 ともかく何か心境の変化なり事情があったように思われる。
 が、ちょっとぐらい気合が入ったからといって、それでベルトを取られるわけにはいかない。
 タッグとしての経験で勝る美月と神田も、当然ながらやられっぱなしではなかった。

「うっぐ」
 試合時間が十五分を越えていよいよ終盤に差し掛かろうというところ、相羽対神田の局面。
 神田のボディブローが相羽の腹部に突き刺さった。
 相羽を前傾させたところで、神田は側面方向のロープに走る。
 右足を振り上げつつジャンプ、左足と右足で挟み込むような踵落としを相羽の後頭部に見舞った。
 しかし、相羽は片膝をついたものの倒れない。
「負けるかぁ……ッ!」
 すぐに立ち上がり、右→左→右とエルボーを打ちこんで神田をロープに押し込み、
 仰け反った神田をロープに張り付けるようなエルボーの連打。
「っりゃああぁぁぁ!!」
 そこから反対側のロープを背に受け、全体重を乗せた渾身のエルボー。
「……っざけるなぁッ!!」
 だが神田も意地を見せる。
 相羽が突っ込んできた勢いを背後のロープで跳ね返して相羽を突き飛ばし、
 左右の掌底を連打して中央まで押し返した。
 更に相羽もエルボーを返し、神田もまた張り返す。
(ここだっ)
 何度目かの応酬のあと、相羽の右腕の影から被せるように神田の左腕が伸びた。
 電光石火のクロスカウンター。
 過去にも相羽を斬って落とした裏技が、今回も相羽の顎先を鋭くかすめた。
「っ!?」
 が、同時に今回は相羽の拳も神田の頬にめり込んでいた。
 これを読んでいたのか、相羽はエルボーと見せかけて自分も拳を伸ばしていたのだ。
 二人は重なり合うようにして前のめりに倒れた。
「神田っ!」
「相羽ぁ!!」
 ダブルノックアウトとなった二人に、両コーナーから同時に檄が飛ぶ。
 それに応えるようにしてじりじりと自陣に這い寄った二人は、
 ほぼ同じタイミングでパートナーの手に飛びついた。
 飛び出すと同時にフロントハイキックを繰り出してきた越後をいなし、美月はバックを取る。
 越後は腰のクラッチを外そうと試みたが、既に美月の両手は越後の両肩にかかっていた。
 跳び箱の要領で越後を飛び越しつつ、その後頭部を掴んで体重をかけ、
 落差をつけたフェイスクラッシャー。
「決めるッ」
 美月は、決定事項を読み上げるように淡々と宣言した。
 と同時に、コーナーから身を乗り出していた相羽にトラースキック一閃。
「……っこの!」
 クリーンヒットしなかったものの体勢を崩した相羽が飛び出しかけたが、
 そこへすかさず神田が襲い掛かり、同体になって場外に転落した。
 邪魔者のいなくなった美月は、
 片膝をついて立ち上がる越後をその背後で静かに待ち、一気に動く。
 まずは後ろから越後の左足を踏み台にし、右膝で下からカチ上げるように後頭部を打つ。
 そのままの勢いで越後を跨ぎつつ正面のロープを背に受けた。
 そして今度は正面から越後の膝に足をかけ、体重を乗せた前蹴り。
 ここ最近の必勝パターンのようになっている二発が完璧に決まった……が、
 越後は顔面を蹴られた瞬間に立ち上がった。
「なっ!?」
 美月の前蹴りを受けた鼻から血を流しながらも、越後は美月の両足の間に頭を入れ、
 パワーボムの形で持ち上げる。
 大きなどよめきの中で美月を抱え上げきった越後は、
 体に捻りを加えることで美月を回転させながら、開脚して尻餅をつく形でパワーボムを放った。
「あ……先輩っ!?」
 場外で相羽を押さえつけていた神田が一転してカットに入ろうとしたが、
 すかさず相羽がその腰にすがりついてこれを止める。
 1、2、……と、観客とレフェリーが一体となってカウントを数えるも、
 3直前で美月は両足で越後の頭を挟み込むように打ちつつ、腰から背中を浮かすことで敗北を拒否。
 観客が一斉に足を踏み鳴らす中、またも試合は振り出しに戻った。
 二人共にしばらく立ち上がれずもがいていたが、先に立ち上がったのは美月。
 ふらつきながらも越後を引き起こした美月は、トーキックを入れて越後を前傾させる。
 やはり最後はこの技しかないとばかり、太股で越後の頭を挟み込み、パイルドライバーの姿勢。
 既に定着しきったフィニッシュホールドの姿勢に、観客は今度こそ試合の終わりを予感した。
 場外では、再度神田が相羽を押さえつける側に回っている。
「終わりです、先輩」
 思わず口をついて言葉が出たと同時に踏み切り、
 越後を真後ろのマットに突き刺すための前転に入ろうとした時、
「……お、終われるかッ」
 体が持ち上がりかけたところで、越後は美月の両膝を前に押し出し、自分の頭を抜いた。
 一瞬、宙に浮かされる形となった美月が着地した瞬間、その首を刈り取るようなラリアット。
「うおおおおおおおおおおお!!」
 身体的にはとうにボロボロのはずの越後が、心は折れていないとばかりに咆哮する。
「くっ、先輩……!」
「決めて!越後さん!!」
 場外では、またも逆転された美月を助けに向かおうとする神田を、相羽が必死で引き止めていた。
 ゆっくりと美月を引き起こした越後は、再びパワーボムの体勢へ。
 持ち上げきると、今度はその場でまず一回転したあと、
 その回転の勢いのままシッとダウンパワーボムで美月をマットへ叩きつけた。

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by right-o | 2012-03-04 18:21 | 書き物