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 一年で最も大きな大会のメインイベント、世界王座戦。
 セミで龍子に完璧な3カウントを喫した市ヶ谷が、悔しさを体中に滲ませながら退場するのを待たず、
 入場ゲート上の大型ビジョンは早速この試合の煽り映像に切り替わった。
 
 今年、全レスラーの目標と言えるこの舞台に立つのは、マイティ祐希子と武藤めぐみ。
 挑戦者である祐希子は、長きに渡ってこの団体を引っ張ってきた、誰もが認める大エースである。
 しかし、そんな彼女が長期の欠場に入っていた一年の間、
 祐希子不在の団体を人気・実力の両面から支えてきたのが、現在の王者である武藤めぐみであった。
 そして、数ヶ月前に復帰した祐希子が熾烈な挑戦者争いを勝ち抜いてめぐみの前に立ったことで、
 新旧二人のエースによる、真の主役を決める戦いが実現することになったのだった。


 リング上で改めて二人が向かい合った時、数万人の歓声は物の見事に割れた。
 それぞれ「祐希子」「めぐみ」を呼ぶ声が完全に拮抗し、全体として何を言っているのかよくわからない。
 さらにゴングが鳴った後も膠着状態は変わらなかった。
 スピードは互角、やや力に勝る祐希子に対し、めぐみは鋭い打撃で対抗する。

 そんな中、まず均衡を破ったのはめぐみ。
 走り込んできた祐希子にカウンターの低空ドロップキックを決めると、
 片膝をついた祐希子へシャイニングウィザード…ではなく、有り得ない低さのフランケンシュタイナーで飛びつき、
 中腰の祐希子を頭からマットへ突き刺した。
「ぐっ!?」
 予想外の攻撃にふらつきながらも、すぐに立ち上がろうとした祐希子に合わせ、
 ロープの反動を使ってのフライングニールキック。
 通常より打点の高いめぐみの一撃は、見事に祐希子の眉間を射抜き、
 かつて大きな目標だった先輩を昏倒させた。
 が、これであっさりと幕を引いていい舞台ではない。
 意地と根性に加えてファンの応援も味方したか、祐希子はめぐみの必殺技を2.9で跳ね返して見せる。
 
 対して祐希子の反撃は、正調のフランケンシュタイナーに来ためぐみを
 投げっ放しのパワーボムで切り返したところから始まる。
 すぐに立たせためぐみを背後から肩車で持ち上げ、両手を体の前で交差させる形で固定。
 そのまま背後に倒れてJOサイクロンで叩きつけたが、まだフォールにはいかない。
「決めるよッ!!」
 位置を整えためぐみを背にしてコーナーに上り、滞空時間の長い独特のムーンサルトプレスへ。
 天女の飛翔は完璧だったものの、めぐみもまた祐希子絶対の決め技に肩を上げて見せる。
 体力でも気力でも、双方全く譲らない。
 普通なら試合が終わるような場面を二度も乗り越え、二人の戦いが未知の次元へ入ろうとしていたこの時、
 実は密かに試合の結末が入場ゲートへその姿を見せていた。


「このぉ!」
「このッ!」
 互いに技と余力を出し尽くしたかに見えた二人は、暫く何も考えられないまま、
 ただただリング中央で足を止めてエルボーを打ち合った。
 そんな肘の応酬が数え切れなくなった頃、やや足をふらつかせためぐみに対し、
 祐希子のローリングソバットが顎を捉える。
 どうにか倒れずに踏み止まっためぐみの横をすり抜けてロープを背にし、
 祐希子が背後からフェイスクラッシャーか何かを狙おうとした時、
「…ハァッ!」
 めぐみは突然後ろ向きに回転し、その場飛びのニールキック。
 これ以上ないタイミングのカウンターが、再び祐希子の眉間を撃ち抜いた。
「ぐぅっ……うあああああ!!!!」
 しかし、一度は仰向けにマットへ倒されながら、祐希子は一瞬で起き上がる。
 今度は何を狙ったかわからないが、とにかく勢いのままロープへ走り込んで戻って来たところで、
 めぐみの左足が、走って来た祐希子の右足の付け根辺りにかかった。
「私が…勝つんだッ!」
 続けて右膝が祐希子の顎を下から突き上げ、一時的に意識を吹き飛ばす。
 スタンディング式のシャイニングウィザードとでも言うような一発が、
 続け様のカウンターとして綺麗に入った。
(私が、勝つんだ)
 思わず口をついて出た言葉を無意識に反芻しながら、めぐみは最後の仕上げにかかる。
 シュミット式バックブリーカーを挟んで祐希子を横たえ、コーナーに上がっためぐみは、
 最後の気力を振り絞り、祐希子と同じかそれ以上の華麗さで宙を舞った。



 新しいエースが古いエースを下し、若干の寂しさを残しつつの大団円――
 完全にそんな気分に浸っていた観客達を、いつの間にかリングサイドにいた市ヶ谷が現実に引き戻した。
 カウント3直前、ムーンサルトからフォールに入っていためぐみの足を引っ張り、決着を阻止。
 さらには止めに入ったレフェリーへ暴行を働くと、持っていたイスをめぐみの脳天に振り下ろしたのだ。
 だが、これだけなら良かった。
 「またいつものワガママで、試合を壊しに来たか」と、そう思っていた観客達は、
 続いてふらふらと立ち上がった祐希子へも、市ヶ谷が当然に何かするものと信じて悲鳴を上げる。
「………」
 しかし、何を思ったか市ヶ谷は無言のままでイスを祐希子へ差し出し、祐希子はそれを躊躇なく受け取った。
「…あとで何とでも言えばいいわ」
 ぐったりしためぐみを、市ヶ谷が無理矢理に起立させる。
「ただ、どうしても勝ちたかった。そのベルトが欲しかった。それだけのことよっ!!」
 祐希子対めぐみ。
 近年稀に見る注目カードと言われたこの試合を決めたのは、
 ムーンサルトプレスでもフライングニールキックでもなく、イスを使った一撃だった。
 「なんで!?」「どうして!?」周囲が口々に言い騒ぐのを意にも介さず、
 年間最大のイベントは、祐希子と市ヶ谷の固い握手という、
 ファンの期待を最悪の形で裏切る行為によって締め括られたのであった。

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by right-o | 2009-06-28 23:07 | 書き物
今さらですが、シローさん主催の第4回レッスル駅伝に参加させてもらってます。
チーム名は「テンイムホウ」。

今回名前ネタに困っていたところ、mosukeさんの「ファレノプシスwithブラウンシュガー」を見て、
もう好きな馬の名前でいいかなと。
別に重賞勝ってるわけでもないけど、何か好きなんですよね。

最近はすっかり重賞以外見なくなりましたが、
ちょっと前だとルーベンスメモリーとかソーユアフロストとか、
府中・中山の上級条件で何度も見かけた馬にはなんとなく愛着が湧きます。


web拍手お返事 元ネタが男色先生でもありがとうございます。

>え~、ライトオさん史上初の桃色ネタで楽しみだったのに(爆)てっきり次は真鍋かと(笑)大会はやはり忘れてましたか。連絡しようか迷ったんだけどね。次回からは迷惑でも連絡する事にします(笑)ジョーカーさん引退間近ですか。スカウト時はウチのHP参考にしてね。でもダメだよ、みぎりに屈しては(笑)対みぎりはあくまで非みぎりでないとっ!

ガチレズはちょっと…と言いつつ少しやる気になってたりします。
リング上で…って、実は前例があるので元ネタには困らなかったり。

大会はスッカリ忘れてましたね…
スカウトはドリームジャーニーの方を利用させてもらって、
マリア・クロフォードをゲットしました。ありがとうございます。
次回大会までに、なんとか鍛えておこうと思います。

というわけでみぎりは見送り。
でもホント、あの無茶な防御と体力はどうにかならんものかと…

と思ったら今度は氷室が引退表明。
…どうしよう。


>品です。神楽さんが来ましたね。遂に私の投げっぱなしが、回収されましたw

見た目ハードコアっぽい(?)と思うんですよね。神楽。
投げっ放し歓迎なので良かったらまた動かしてやってください。


>竹刀を使った試合ルールって、確か『ドラゴンシナイマッチ』とか言うのじゃなかったでしょうか。うろ覚えですけど。神楽さんは絶妙な舌技で、柳生さんを締め堕とした訳ですね。・・・・・プロレスか?

「シンガポールケインマッチ」じゃないですかね?
どの辺が「シンガポール」なのかが長年の謎なんですが。

ま、プロレスは何でもアリですからね。
プロレスと名乗る限り全てがプロレスですよ。


でも「プロレス」って呼称はおかしいですよね。
「プロのレスリング」というあらぬ誤解を招きかねないので。
レスリングにも失礼だろうし。


何でもアリと言えば、この上のSSですが…
駅伝チーム中の補正「パワートリップ」の元ネタの再現というか何というか。

久々に反応が恐いかも知れません。
というか、無いかも。


田植えの打ち上げで温泉入って馬刺し食べてお酒飲んでたら宝塚記念が終わってました。
う~ん、着実に競馬から離れつつある…

これはやはり、一度本物を拝みに行くしか。

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訳あって、今日から一週間ほど農家の手伝いをしています。仕事で。
そういうわけでクタクタです。


web拍手お返事 最近遅くなりがちですいません。ありがとうございます。

>神楽さんの奇襲&貫禄(?)の勝ちですね。次の餌食は正義の味方か、それともテクニックにまさるあの人か……楽しみです。

これの続きは作りにくいですねー。
できればこの辺である程度マトモな方向に軌道修正したいんですけど、
いっそ鏡さん投入でまた別のカオスをやってみたい気もしてます。


>神楽はとんでもないものを盗んでいった

美冬の…操です(違

ちなみに「ディープキス」はDDTの男色ディーノの技です。
「ときめきメモリアル」等、キス攻撃という手段を使う人はいましたが、
ディープまでいったのは男色先生だけ(多分)


今週はSSをお休みするかも知れません。
疲れて…


しかし、なんですね。
どうも最近はプロレス関係の記事を読むと気持ちがスッキリしません。
別に暗いニュースが続いているからとかではなくて、
やっぱり、「プロレス」の敷居は高いんだなあ、と、そんなことを思います。


あ、そういえば愛の無差別タッグ大会にエントリーするのをすっかり忘れていました…
ライバル団体(?)の皆様すいません。
つ、次こそは…

さらにもう一つそういえば、愛でジョーカーさんが引退間近です。
真帆やら伊達やら鏡さんやら、大抵の好きなキャラはもう雇用済みなので、
後釜をどうしたもんかと思案中。

大会で痛い目に遭わされ続けているみぎりを雇おうかとも思うんですが、
いざ自分で使ってみると弱そうな予感。

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今週は予想を上げませんでしたが、シンゲン強かったですね。
これからの予定は知りませんが、新潟と府中に強いこの馬、
毎日王冠→秋天と面白い存在になるんじゃないでしょうか。


…と、例年なら府中開催が終了してテンションダダ下がりな季節ですが、
そもそも府中に行けない今年はどうということもありません。
が、
一つすっかり忘れていました。

もう宝塚(観戦レッスルオフ)の季節なんですよね…
どうしても外せない予定があって、今年は行けそうにありません。

代わりに今年もアイビスサマーダッシュでも見に行くかな。
ライトオ(本物)の子供が直千でデビューとか1レースぐらい無いものかと。
それかいっそ、今年こそは本物に会いに行こうか。


web拍手お返事 そういうことです。ありがとうございます。

>南蛮渡来のアレと言うと、ミス・パーフェクトさんのことですか?

噛ませ犬になってしまいましたが、北条さんで当たりです。
フェンシングはよく知らないので適当ですけどね。


というわけで、ようやく美冬が墜ちました。
このあとは以前に頂いたアイデアを消化していこうと思います。

しかし次回は変人むとめの続編です。
こちらは日本の、というか日本インディーのハードコアな方面を扱っていく予定。
…誰が喜ぶの、とか思いつつ。


NOAHの三沢さんがお亡くなりになりましたが、
プロレス歴の浅い私としては何とも言えません。

思い出としては全日での小島戦でしょうか。
ご冥福をお祈りいたします。

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「ハッ!」
 小剣を前に突き出して腰を落とした姿勢から、
 目にも止まらぬ速さの突きが何度となく繰り出された。
 受け止めることのできない攻撃に、流石の美冬も後ろに下がるしかない。
(異な剣…突きに特化したものか)
 初めて立ち会う武器を前にして、美冬は愛刀を袴の腰に落とした鞘に収める。
「構えろ!臆したか!?」
「…気にするな。既に構えている」
 目線も姿勢も全く油断させることなく挑発してきた相手に対し、
 美冬はただ右手で刀の鯉口を切っただけで応えた。
「ッ!!」
 美冬の態度を侮辱と感じたか、これまで以上の速度と勢いを備えた突きが即座に伸びる。
 が、同時に、美冬の刀はそれ以上の速さで鞘から抜き放たれていた。
「わっ!?」
 カチッ、という乾いた音がしたあと、
 両者の間で脂汗を流しながら事態を見守っていた美月の頬を、
 北条の持っていた“エペ”の刀身がギリギリでかすめ、そのままロープを越えて場外の床に突き刺さった。
「くっ…」
 自分の右手、お椀型のアームカバーのみを残して根本から断たれた愛剣を見ては、
 プライドの高い北条も膝を屈さざるを得ない。
「私の、負けだ…」
 こうして、何故かリング上で行われた異種剣技同士の戦いは、
 またしても美冬の勝利で幕を閉じたのだった。


 その数日後。
 ベルトを管理する美月による涙ながらの訴えが認められ、
 ハードコアマッチにおける刃物の使用が暫定的に禁止されてから、初の王座戦。
 得物を木刀に代えた美冬は、久しぶりに試合着姿でリング上に立っていた。
 これに対するは越後しのぶ。
 こちらも普段の竹刀を木刀に持ち替えての挑戦であった。
(ま、これなら命の危険は無いでしょう)
 真剣も木刀も、実は立ち会いでの危険度には大差がないという話もあったりするが、
 この場合の美月が心配しているのはあくまで自分の命である。
 かっ、と一合してからやや離れて向き合った両者は、まずは全く対照的な姿勢で武器を持った。
 美冬は木刀を持つ右手をだらりと下げ、構えとは呼べない自然体のまま。
 逆に越後はしっかりと両手で木刀を持ち、切っ先を相手の喉へ向けた所謂正眼の構え。
「はッ!」
 片手持ちから様々に繰り出される美冬の攻撃を、越後の木刀は見事に捌き切った。
 その都度、構えは元の正眼に戻り、姿勢にいささかの乱れもない。
 静と動のはっきり分かれた、見事な攻防であった。
「ふ」
 やるな、とでも言おうとしたのか、美冬が手を止めてやや間を置こうとしたのを見逃さず、
 ここで攻守が交代した。
「何を考えている!」
 一気に懐へ飛び込んだ越後は、鍔迫り合いの体勢から美冬を押しのけ、籠手を狙う。
 これを後ろに退いて避けた美冬がロープを背負うと、一足一刀の間合いから面を狙い、
 再度踏み込みながら木刀を大きく振りかぶった。
「めぇ――!?」
 しかし、越後の振り下ろしに対して美冬は真下から木刀を振るったかと思うと、
 柄尻の部分で越後の一刀を受けつつ、そのまま大きく跳ね上げる。
「うっ」
 危うく木刀を取り落としかけた越後は、両手を真上にやったままで数歩後ずさり、体勢を崩した。
 美冬の方は振り上げた木刀を首の後ろに回し、肩に担ぐような姿勢。
 この試合で初めて、構えらしい構えを見せる。
 それでも、
(遠い)
 と越後は見ていた。
 先ほどから何度も刀を合わせ、相手の間合いは完璧に見切っている。
 ――はずであった。
「なっ!?」
 刀か、腕が伸びたようにしか思われなかった。
 担いだ姿勢から美冬が大きく横薙ぎした一閃は、危ういところで額をかすめていったのだ。
(危なかっ…)
 安堵しかけた越後の額から、はらりと純白の鉢巻が割れて落ちる。
 美冬が意識してもう半歩踏み込んでいたら、割れていたのは鉢巻の下だっただろう。
「くぅっ……!」
 膝をついて見上げた越後は、だらりと下がった美冬の右手が、
 いつのまにか木刀の柄尻ギリギリのところを握っていることに気づいた。
 恐らくは腕を振ると同時に手を鍔元から柄尻まで滑らせ、木刀の間合いを伸ばしていたのだ。
 一見すると幼稚に思える発想だが、実践するには精妙な握力の加減が求められ、
 普通はまずできることではない。
「真っ直ぐな剣だ。正直が過ぎるほどにな」
 またしても、汗一つかくこともないままの完勝。
 もはや、美冬を止められる者はいないかに思われた。

「ちょぉっと待った」
 美冬がリングを下りようとしたところへ、唐突に声が上がる。
 右手にマイク、左手に木刀を下げて現れたのは、神楽紫苑であった。
 神楽はさっさとリングに上がると、凶器を持った美冬を恐れることなく、
 ずかずかと間合いを詰めてその目前に立ちはだかった。
「最近思い出したんだけどさぁ、アタシそのベルトを手放した覚えが無いのよね。
 もうそろそろ返してもらえないかしら?」
「…私の知ったことではないな」
 二人の距離は瞬く間に縮まり、ついに互いの鼻が触れそうな位置に近づく。
「ふぅん…そう」
 まさに顔と顔、目と目を合わせた視殺戦。
 美冬の刺すような視線と、それを正面から受けて全く動じない神楽の冷めた視線が、
 間近でぶつかりあって火花を散らした。
 ような気がしたその時、
「むぐっ!?」
 二本の木刀が同時にからりと音を立て、マットの上に転がった。
 そして差し向かっていた二人の距離は更に縮まり、ついに密着。
「う、く……」
 神楽の唇が、美冬のそれを完全に塞いでいた。
 何をされようが構わないという覚悟を持っていた美冬だが、流石にこんなことまでは予想していない。
『うおおおおおおおお!!?』 
 美冬の圧倒的な技量に息を呑んでいた先ほどまでとは一変、
 客席は突如謎の盛り上がりを見せるも、ファン達はすぐにこの異常事態に順応して見せた。
『落・と・せ!落・と・せ!落・と・せ!』
「…はあ!?」
 美月は突然湧き起こった謎のコールに驚きつつも、とりあえずは選手の状態を確認してみる。
「ぎ、ギブアップ?」
「………」
 神楽の腕にしっかりと抱かれた美冬は、目を閉じたままで何の反応も示さない。
 やむなく美月が美冬の右手を掴んで持ち上げてみると、その手はただ力なくだらりと下がった。
「…ワン」
 もう一度同じ事を試しても、やはり美冬は反応しない。
「…ツー」
 三度目、これで腕が落ちればレフェリーストップとなるところで、
 美冬はどうにか意識を繋いだらしく、下がりきる寸前でその手が止まる。
(うわ…)
 その直後、なんとも形容しがたい湿った音が美月の耳だけに聞こえ、
 美冬の体は一気にマットの上へ崩れ落ちた。

柳生美冬× (レフェリーストップ) ○神楽紫苑
※ディープキス 美冬が4度目?の防衛に失敗。神楽が第17代王者に

「ふふふ…ごちそうさま」
 そう言って口を拭った神楽の足元で、美冬が目を見開いたままで真っ白に燃え尽きていた。
 ほんの数分前まで絶対的な強さを誇っていた前王者の抜け殻である。
 それをリング下へと転がしながら大きなため息を吐いた美月は、
 もはや何もかもを諦めきったように冷めた顔で、新しい王者の誕生を見つめるのだった。

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by right-o | 2009-06-14 17:57 | 書き物
残業してるわけではないんだよなあ、と当たり前のことを今さら感じる今日この頃。
段々とサラリーマンに慣れてきているようです。

まあそんなことはどうでも良くて。


web拍手お返事 マニアックなプロレスネタが続きましたが、ありがとうございます。

>品です。木刀ですか・・・使い方が難しそうです。竹刀の方が音のインパクトがあるから使いやすいですよね。見る側にも伝わりやすいですし。個人的にはゴミ箱に竹刀を入れて持ってくるトミー・ドリーマーが印象深いですね。それにしてもむとめの「あ、いりません」には負けた菊池が・・・

なまじ本気で痛い凶器なだけに、加減しないわけにはいかないという。
やっぱり竹刀ぐらいがお手頃ですよね。

ところで竹刀といえば、ドリーマーももちろんですが個人的にはシェイン・マクマホンでしょうか。
手元でクルクルと回す竹刀さばきが良く思い出されます。まさに玄人はだし。


>ジョーカーさん、とても現実的です。さすがギャンブラー。(カレーマン)

ジョーカーの危惧が正に的中する結果になってしまいました。
まさか安田がガチガチの決着とは…
荒れたダービーとは正反対です。


>頑張れジョーカー!穴推奨でも当たらんと儲からんしね(笑)一番人気でも1点高額購入なら充分ギャンブルかと。>mosuke

いやー、色んな意味で今回のウオッカはちょっと買えませんでした。今後も…

オッズを考えての賭け方を考えるため、「切り札」は回収率を競う形にしようかとも思うんですが、
毎回の予想が面倒なのでちょっと迷っていたりします。


>こんなミミさんも良いね!

そう言ってもらえればありがたいです。
話の中では特に理由も無くあの性格にしちゃってるんで…
多分、この後は元通りに裏で糸を引いてもらうことになると思います。


>やっぱり伊達は強かった。意地になると強い子ですね。

元ネタになった試合とレスラーがあったりしますが、それはともかく、
私の中でレッスル界最強は伊達か鏡さんです。
なんとなく。


>ミミさんに垂直落下系の技は(理沙子に散々叩きつけられたトラウマがあるから)自重するんだ。

あ、そうなんですか。
理沙子対ミミさん…あまり想像がつきません。

ところで、伊達には垂直落下式ブレーンバスターがよく似合う気がします。
これまたなんとなく。



と、いうわけで、唐突に激闘龍篇の続きでした。

技「足横須賀」は、現ドラゲー横須賀享の技。
正面から相手を持ち上げ、開脚して膝から叩きつけるという技です。
なんというかこの、「足を痛めつけたいなら足から落とせばいいじゃん」という発想が好きでした。
最近はほとんどやらないのかな。


さて、次はそろそろまたハードコアな方向へ。
木刀と言わず、海を隔てた南蛮国のアレを使いましょう。

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「い、今まで悪いことしてきて…本当にすいませんでした」
 互いの髪を懸けた、小早川との試合から一週間後、
 伊達はリングの上から客席に向かって深々と頭を下げていた。
「これからは正々堂々と戦うから、…その…、
 お、応援してください…!」
 後ろ髪の無い頭でもう一度礼をした伊達に対して、客席からは大きな歓声が贈られる。
 具体的にどういう心境の変化があったかまでファンは知らないものの、
 とにかく伊達のフェイスターンは周囲から好意的に認めてもらえた――かと思われたが、
「ちょっと待って!」
 それまで伊達を担いでやりたい放題してきた二人だけは、
 当然ながらこれを許すわけにはいかなかった。
 突然リングに乗り込んできた吉原とつかさは、伊達の話を遮って自分達もマイクを握る。
「遥ちゃん、一体どうしてしまったの?
 私たちは今までうまくやってきたじゃない!」
「そうだよ遥さん!これからも三人で一緒にやってこうよ!!」
 しかし、伊達はもうこの二人に流されることはなかった。
「嫌…私はもう、汚いことはしたくない…!」
 かつての仲間を真っ直ぐに見返す遥を前にして、ついには吉原達も折れざるをえない。
 ただし、かといって大人しく引き下がりはしなかった。
「わかったわ遥ちゃん。…でも、タダでは認めてあげない。
 勝負をしましょう。試合で私に勝つことができれば、あなたの勝手を許してあげるわ!」
 随分と人を見下した物言いではあるものの、
 レスラーなら勝負と言われては引き下がれないということを、十分に計算した上での挑発であった。


「「シッ!」」
 ゴング直後、互いに様子見のローキックを合わせて試合が始まった。
 これまで伊達の後ろに隠れ、ズル賢さばかりが目立ってきた吉原だが、
 基本スタイルは遥と同じ打撃系である。
「ハッ…!」
 まずは伊達が左右の正拳突きから、股裏への強烈なローキックへ繋ぐ。
 これで膝をつかせた相手へ、ロープへ走り込んでから強烈なミドルキックを叩き込むのが伊達得意のコンビネーションである。
 しかし吉原は立ち上がると、ロープから跳ね返ってきた伊達へ反対にカウンターのミドルキックを合わせてお返し。
 この予期せぬ反撃で伊達を棒立ちにさせたかと思われたが、
「ぐ、ぅっ…!?」
 直後、その場で一回転した伊達のソバットが、吉原の腹部をえぐっていた。
 激痛に思わず背中を丸めた吉原の後頭部へ、すかさず側面に回った伊達の踵落としが降ってくる。
(やっぱり普通に戦っても無理ね……!)
 元々この団体での実力は抜けている上に、体格面で伊達は吉原を圧倒しているのだ。
 正面から蹴り合い殴り合いを挑んだところで、とても勝てる相手ではない。
 顔からマットに這わされながら、吉原は鈍く痛む頭で次の手段を考えていた。

 流れが変わるのは五分を過ぎたころ。
 走り込んだ伊達に対し、吉原が抜群のタイミングで左膝への低空ドロップキックを決める。
「うっ!?」
 勢いのまま前方へ転がった伊達は、膝を押さえてうずくまった。
(よし…!)
 ここから吉原の反撃が始まる。
 無理に立ってきた伊達の膝を一旦は容赦なく蹴り崩すと、
 それでもなお気迫で立ち上がる伊達の反撃が効いたと見せ、わざとコーナーまで下がった。
 そして棒立ちを装った自分の横を擦り抜けていく伊達を見送ったあと、
 読んでいた三角飛び式の延髄斬りを屈んで回避。
 べちゃっとマットに這いつくばった伊達の膝を捕え、膝十字で呻き声を上げさせる。
「うっ、く……!」
 これをロープに逃げられると、一旦は大人しく技を解いて伊達を放すと見せ、
 そのまま右足を引っ張ってリングの中央に引き込んだ。
「降参するなら今の内よ。遥ちゃん」
「誰が…!」
 膝を踏みつけている吉原を押しのけ、伊達が強引に立ち上がろうとする。
「それじゃ、少し痛い目見てもらわないと!」
 立ち上がるまでは手を出さなかった吉原は、
 伊達の膝が伸びると同時に容赦無くローを蹴って怯ませ、その隙に素早く頭から伊達の懐へ潜り込んだ。
 脇へ首を差し入れるようにして伊達の上体を支えたあと、両手を下に回して膝頭のやや下あたりを掴む。
「何を…!?」
 訝る間もなく、伊達の体は両膝を曲げた姿勢で宙に浮かされていた。
 そして吉原は、そこから後ろに反り投げるでもなく、
 ただ1mほど伊達を持ち上げてそのまま両手を放し、自分は両足を開く形で尻餅をつく。
 勢い、伊達は足の裏ではなく膝頭に全体重を乗せる形で、両膝からマットに着地させられた。
「ぐぅっ…!!」
 全く予想していなかった足殺しを受け、膝立ちのまま固まった伊達の胸本を、
 素早く立ち上がった吉原のミドルキックが正面から襲った。
 たまらず後ろに倒れた伊達の足を取り、吉原はくるりと回って足4の字固めへ。
「終わりよ。戻っていらっしゃい遥ちゃん!」
 吉原は両手を後ろについて足に力を込めてギブアップを迫る。
 ロープは遠く、逃げ道は無い。
 それでも伊達は強情に首を振り続けた。
「もうあなたの言いなりは嫌…!私はヒールなんかやりたくない…っ!!」
 思い切り歯を食いしばると、伊達は痛む足に力を込め、
 上体を思い切り捻って吉原ごと自分の体を一気に反転させる。
「くっ…」
 こうすることで、今度は足の苦痛が吉原に加わることになる。
 といってまだ余裕のある吉原にしてみれば参ったするほどのことはないが、
 このままでは攻めきれないので、転がることで近くなったロープへ手を伸ばさざるを得ない。
 長く絡まっていた四本の足が解かれると、二人はそれぞれに痛む足を引き摺りながら、
 互いにロープを支えにして立ち上がる。
「はぁッ!」
「このッ!」
 立つと同時に、二人の右ハイキックが交錯。
 体格か、スタミナか、それとも気持ちが吉原に優ったのか、
 散々に痛めつけられた伊達の右足は、吉原のを大きく弾いて体勢を崩させた。
「な…ッ!?」
 間髪入れずに繋いだ左ハイで吉原の側頭部を薙ぎ払うと、
 自分の方に倒れかかってきた相手の首へ腕を回し、ブレーンバスターで持ち上げる。
「この勝負、勝たせてもらいます…!!」
 上がりきったところから体を回転させつつ、吉原を頭頂部からマットへ。
 変形の垂直落下式ブレーンバスターで、伊達が完璧な3カウントを奪った。


「完敗ね…」
 試合後、勝ち名乗りを受ける遥に背を向けて、
 吉原はつかさの小さな肩に掴まりながら引き上げていた。
「うう、泉さん、あたし達これから…」
「大丈夫よ」
 ただ一人だけに戻ってしまった仲間に向かい、吉原は自信ありげに言い切る。
「遥ちゃんが私たちの元を離れたことは、必ず他の誰かにも影響するはず。
 私たち以外にも、誰か遥ちゃんのせいで割を食う人間が出てくるのよ」
 “誰か”と言いながら、遠くを見ている吉原の目には、その人物がはっきりと映っているようであった。
 目立つ一人をリーダーに担ぎ、自分はその下について暴れる。
 それが吉原の、この団体で身につけた彼女なりの処世術であった。

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by right-o | 2009-06-07 19:09 | 書き物
ジ:苦し紛れ?
美:ちゃんとしたSSは今日の夜までお待ち下さい…。あとweb拍手のお返事も。


美:というわけで以下略。
  競馬予想のコーナーです。
ジ:府中のGⅠ連続開催も今週で最後。
  きっちり決めたいところではあるな。


安田記念
◎スーパーホーネット
○サイトウィナー
△アブソリュート
△ディープスカイ

美:2000年以降一番人気の連対ナシ。
  あとは趣味。騎手と馬の。
ジ:データ派が趣味て…。
  ◎は今回も善戦止まりのような気がするがなあ。


今週の切り札!

▲ウォッ…

美:待った。
ジ:なんだよ
美:今後、切り札コーナーで前売り一番人気馬の推奨を禁止します。
ジ:なんでだよ…。
美:だからお前それでも本当にギャンブラーかと。
  強い馬がすんなり勝たないからこその競馬、ひいてはギャンブルなわけで、
  それを一番人気から買ってちょっと当てたからって自慢にならんのっ!
ジ:自分のこじつけデータ予想が当たらないからって…
  ハイハイ、わかりましたよ。

▲カンパニー

ジ:コイツも強いんだか弱いんだかわからんが、
  毎回惜しいとこまでは行くからな。



ジ:ところで、GⅠ終わったらこのコーナーは?
美:それは今回の結果次第ですよ。

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下の記事上げるのとコメ頂くのが同時でした。


>柳生美冬の防衛戦(?)を見ていて是非ともリクエストしたいのですが……木刀を使う選手同士の試合の試合が見たいです。あまりプロレスをみたことがないので、サバ2をやっていてもいまいち「木刀」をどんなふうに扱うのかイメージが浮かびません。(技絵をみても普通に殴るような使われてはいないのだと思ったのですが。)リクエストができるのであれば、のお願いですので受けつけていない場合は無視していただいて結構です。

考えてみると、ちょっと難しいかも知れません。
というのが、プロレスの試合で木刀はそれほど有効な(?)使い方をされていないと思うんですよ。

木刀と言え現“鬼嫁”北斗昌の代名詞だったと言えるかと思いますが、
この人でもあまり、例えば振りかぶって思いきり打つようなことは無かったはずです。
だって相手が怪我しますからね。

そういうわけで基本的に自分の手で切っ先をカバーしてるのが見え見えの緩い突きか、
加減した打ち方しかできないんですよ。
といってもちろん木刀に限った話ではありませんが、
これがイスやテーブルなら殴る以外の使い方ができるし、鉄パイプ等なら大きな音が出ます。

木刀は他の使い道が無い割には、見た目にも耳にも地味な凶器…というのが私の印象なんです。


何か不要な語りに入ってしまいましたけど、
そういうわけで現実と同じような使い方をする試合は難しいかなと。

ただし、お陰でネタが浮かびましたので木刀を使った試合はやらせていただきます。
いやもう、木刀と言わず似たような他のブツも使いますよ。

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いい加減何か書かんと…

そうは思いつつも、中々気力と体力がもちません。
明日は書く。明日は…


web拍手 何だかよくわからないむとめでしたが、ありがとうございます

>なんとかと紙一重なら、天才と野生児の試合とか盛り上がりそうですね?

う~ん、やるなら舞台はキャンプ場ですかね。

真帆はハードコアの方で何かさせたいと思ってます。
美冬RIKKA戦を超える斜め上の無茶ができそう。


>カプチーノはネタ馬だったねぇ。美月信じれば良かった(笑)馬券は獲れたけど。関東馬ダービー制覇おめでとさんです!>mosuke

なんとなく、ウインクリューガーと同じ臭いを感じるんですよね。
まだ秋にマイル路線に戻ればわかりませんけど。

ところで…ノリのダービー制覇は喜ばしいとしても、
ロジユニにもネタ臭を感じていたりします。
あれ良馬場ならどうだったかなあと。


>むとめの(KYな)性格は戦士としてはともかくプロレス道としてはどうだろう?

まあプロレスなんて、言ってみれば空気を読むことが全てですからね。
しかし次回ではもう少しむとめの性格というか、中身に触れてみたいと思います。


わかりづらく言うと、
×天才 ○ゴールデンスター
ということです。


昨日今日と名古屋の豊橋まで行ってきました。
といっても、ほぼ松葉通り?しか見てませんけど。

う~ん、おネエちゃんのいる店で飲む機会が増えたなあ。

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