○柳生美冬  (2分00秒 踏みつけ式体固め)  神田幸子●

NEW WINDさんのSSアカデミー 第4回「試合について」内で出題された、
「 試合開始早々、エース選手のハイキックが決まり、
  新人選手が一発で3カウント。試合時間は”2分” 」
というお題について自分も書いてみようと思います。


「勝てるはずがない」
 この試合が組まれたことを知った時、誰もがそう言った。
 デビュー間もない神田と看板選手の美冬が当たるのだから、当然ではある。
(そんなことは、わかってるさ)
 と、神田は自分でもそう思う。
 しかし心のどこかでは全く逆のことを考えてもいた。
(急所に当てさえすれば、キャリアの違いも何もあるもんか……!)
 デビュー以来いまだ負けを知らない神田には、自分と美冬との違いがわからない。
 恐らくはこの試合が組まれた意図もその辺りに関係しているのだろう。

 試合は、まずゴングが鳴ると同時に神田が突っかけた。
 得意の掌底を左右と打ち込み、
 美冬が下がったところへ凄まじい音を響かせて右のローキックで追い討ち。
 左ミドルへと繋いで、さらにロープを背にした美冬の頭を首相撲に捕えて膝蹴りの連打。
「どうした!こんなものかっ!?」
 これだけ打ち込まれても全く動こうとしない美冬を見兼ね、神田が吼えた。
 すると美冬はそれまで下を向いていた顔をぱっと上げ、
 背筋を伸ばして本来の身長差そのままに神田を見下ろし、ねめつけた。
「………」
 無言で神田を威圧するその姿は、「お前こそこんなものか」と言いたげに見える。
「くっ…!このォッ!!」
 思わず一瞬たじろいでしまったのを隠すように、
 神田は渾身の右掌底を美冬の顎目がけて放つ。
 が、それも美冬の首をわずか傾げさせるだけに終わった。
 その次の瞬間、
バチィッ
 という音を立てて美冬の張り手が神田の頬に炸裂。
 ぐらついた神田に対して、
 さらに間髪いれずに右ハイキックが逆の方向に頭を薙ぎ払った。
 前のめりに倒れた神田を右足で転がし、
 仰向けに直すとそのまま胸に足を乗せてフォール。
 神田が経験した初めての敗北は、これ以上無いぐらいに屈辱的なものだった。



…という感じになります。
ポイントとしては、やはり“2分”という異例の試合時間だと思います。
短いけれども秒殺ではない、という絶妙な長さです。

ここから浮かぶ私の妄想としては、
「エースが圧倒して新人をオモチャ扱いした挙句、やっぱり飽きたからさっさと終わらせた」
もしくは、
「新人がとにかく攻めまくるもエースには通じず、一発で終了」
の2つが浮かび、今回は後者を取りました。

救いはフィニッシュがハイキックであること。
これが脇固めとかだったら、余程新人にやる気か体力が無いか、
試合前から両者が共謀していたかしか展開が浮かびません。

人選は、前回伊達の引き立て役にしてしまった美冬をエースに。
ついでに設定を引き摺ってちょっとヒールっぽくしてしまいました。

それにしても、
ちょっと不自然に取れる試合結果を妄想で埋めるのは意外に楽しいです。
リプレイは以前投げ出したまんまですが、
サバイバー2ではまたやってみようかな。


と、試合描写の部分で名前を挙げていただいたので調子に乗って色々書いてみました。
…書き終えてみると、いつの間にか勝手に設定が増えていたという(汗

一応、自分が試合を書く際に気をつけていることとしては、
「レッスル以外でプロレスを知らない人でも場面が想像できるように」ということを考えています。

なので、ブレーンバスターやフランケン等のレッスルにある技、
もしくはローキックやミドルキックなんかは技名だけを書いていればいいんですが、
チョークスラムやクロスアーム式ジャーマンなんかは
詳しく技の入り方から書いた…つもりです。

表現力に欠ける自分がこれをやってしまうと、
長々と説明だけで行を食うことになり
余計に読む人の興を削ぐような気もするんですが…

試合以外は当然として、試合内容もまだまだ勉強ですね。
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by right-o | 2008-04-09 21:10 | 書き物