『エンジェルカップ』最終日第六試合 ジョーカー&真帆VSマッキー上戸&ラッキー内田 後編

 ジョーカーたちが優勢だった時間より、最終的には内田たちが優勢な時間の方が上回る。
 というのは、
「うりゃッ!!」
 と、内田の徹底した足攻めの間隙を突き、真帆がカウンターのパワースラムを決めても、
 コーナーで待っているはずのジョーカーはエプロンに横たわったままなのだ。
「くぅぅぅ……!」
 歯噛みしながら、真帆はコーナーから入って来た上戸に引き摺られてリング中央に戻される。
 そこをすかさず捕まえ、内田は右足へのアキレス腱固め。
 そのままアキレス腱固めをかけ返す、などという器用なことができるはずもなく、
 真帆はロープへ手を伸ばしたり、空いている左足で蹴ったりしていたが、
 そんな暴れ方を巧みに利用し、内田は技をかけたまま回転し、真帆をうつ伏せに。
 すかさずアンクルホールドに移行し、足首への攻めを継続した。
「うっぐ……!」
 まだ耐える真帆は、マットを引っ掻いて必死で這い進もうとする。
 が、極めきれないと見た内田は、改めてリング中央へ引き戻し、
 うつ伏せの真帆の背中をステップオーバー。
 真帆の右足を左足の膝裏に畳んで引っ掛け、後は逆エビと同じ要領で反り上げる、
 必殺のテキサスクローバーホールド。
 完全に腰を落とし、脱出不能な形で極めて見せる。
「よしっ!」
 青コーナーにいて勝利を確信した上戸が、
 念押しに相手パートナーを分断しようと赤コーナーに目をやる。
 すると、横になっていたはずのジョーカーの姿がそこに無い。
(どこ行った……!?)
 探し回るまでもなく、ジョーカーは場外からリングの上に這い出て来た。
 そこはちょうど、テキサスクローバーを極めている内田の正面。
「そろそろ仕事に戻らなくちゃなッ!」
 腰を落としている内田の膝を踏み台にしてのシャイニングウィザード。
「このッ!」
 すぐにコーナーから飛び出した上戸がジョーカーの背後を取り、
 有無を言わさず引っこ抜く投げっ放しジャーマン。
「外野は黙ってやがれ!」
「オマエも黙ってろッ!」
 上戸の立ち上がり際、真帆が今夜二度目のスピアーを発射。
「あなたの相手は私でしょ!」
 かろうじて気合で立ち上がった内田が、真帆の振り返りざまにフライングニールキック。
 決めると同時に内田も倒れ込み、リング上は四者がダウン。
 仰向けになった四人の胸部が、荒々しい呼吸に合わせて激しく上下している。
 天井を見上げて満場の声援を聞きながら、ジョーカーと内田はあるアナウンスを聞き取った。
「ちっ」
 一度コーナーに転がり込み、ジョーカーは真帆を呼び寄せて交代。
「決めるぞッ!」
 内田の首を捕まえて引き起こし、ブレーンバスターで持ち上げると見せて見栄を切ると、
 すぐさま首固めに丸め込んだ。
 しかし内田はこれを横に転がって逆にジョーカーの肩をつける。
 ごろごろと数度転がりながら同じ攻防を続けて離れると、
 埒が明かないと殴りかかったジョーカーの右腕をかわし、背中合わせの状態から逆さ押さえ込み。
「うお!?」
 ジョーカーはギリギリのところで自分から後ろに回転して肩を上げ、
 土下座の体制にある内田の胴を掴みつつ両腕を足で押さえて自分の方に転がし、
 ローリングクラッチホールドの形。
「うっ!?」
 内田も背後に転がって両肩を上げると同時に、
 ジョーカーの両足を掬いつつ前転して両足を開脚ブリッジし、ジャックナイフ式エビ固め。
「くぅぅぅっ……!」
 上にある内田の胴体に両手を回しつつ、ジョーカーは二人分の体重を支えるブリッジで脱出。
 ぐるりと体を回転させると、向かい合った内田の腹部に膝を入れて屈ませ、電光石火のラ・マヒストラル。
 ここでついにゴングが鳴り、長かった試合にようやく終止符が打たれた。


  フォクシー真帆              マッキー上戸
 △ジョーカーレディ (30分時間切れ)  ラッキー内田△

「ふー……お腹空いたぞ……」
「もうダメ。立てん……」
 ラ・マヒストラルを返された瞬間に試合が終わり、ジョーカーはそのままマットに倒れ込んだ。
 同時に真帆もエネルギー切れ。
 二人は横になったまま、肩で息をしながらも立っている内田と上戸に目をやった。
「これからどうなるか知らんけど、まあ頑張って」
「お、お先に、だぞ……」
 ぼうっとしているしかない二人へ揃って親指を上げて見せ、転がりながらリングを下りた。

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by right-o | 2010-09-06 01:09 | 書き物