『エンジェルカップ』五日目第三試合 フレイア鏡VSキューティー金井

 蛇に睨まれた蛙というか。
 簡単に言えば、相性の問題ということになるのだろう。
 前日、朝比奈を破っている(といって他の試合を見ない鏡はこのことを知らないが)金井に対して、
 鏡は一目見た時から相手を呑んでかかった。
 対して金井は、あっさりと呑まれた。
「ううっ……」
 何もしない内から泣き顔の金井が、こちらの細かい動作にいちいち怯えたり腰が引けたりするのが、
 鏡には面白くて仕方が無い。

 内心で舌なめずりしながら、鏡はとりあえず痛めつけて動けなくするために、
 ニーリフトを入れて屈ませた金井の首を捕まえ、ブレーンバスターの体勢。
 ということはつまりフロントネックロックと大体同じような形になる。
 前日の感触を覚えていたか、金井の体が反応した。
「やあああッッッ!!」
 ここで鏡が、金井を舐めきって中途半端にしか力を入れていなかったことが、
 逆に朝比奈の場合との明暗を分けた。
 咄嗟に首へ回した手を放そうとしたことで、クラッチしようとした金井の腕を邪魔する結果になり、
 金井のノーザンライトスープレックスはかなり崩れた。
 ホールドできず、水車落しのように投げっ放すことになったが、
 それでも金井はすかさずフォールに入ろうとする。
 この時金井の犯したほんの些細なミスが、一瞬後で大変な結果をもたらした。
「あ……」
 金井は早く押さえ込もうと焦るあまり、鏡の右側から、
 手前にある右足を抱えて片エビ固めを行ってしまったのだ。
 気が逸った選手にはよくあることで、セコンド陣も気づいてはいたが何も言えなかった。
 というより、言う暇がなかった。
「さあ、おいでなさい……ッ!」
 脅威の柔軟性を発揮した鏡の右脚が、金井に押さえ込まれた以上に折り曲がり、
 真っ白い太腿を金井の首に引っ掛けた。
 同時に両手で作った輪が首の逆側を固定し、完全に捕獲。
 左脚で両手を封じるのが本来の形だが、そこまでは必要無かった。

 そこからは、「キューティー金井は意地で苦痛にどこまで耐えられるか」という名の実験である。
 時間としては前日の小縞と大差無かったが、内容ははるかに酷かった。
 ギブアップするギリギリを見極めるように微妙な力の強弱をつけ、
 完全に涙目の金井をなだめたりすかしたりして、終いにはその涙に舌を触れた。
 そうした静かな暴走の末、ようやく満足を得た鏡は、
 最後に全力で金井を抱きしめた。

 ○フレイア鏡 (6分45秒 蜘蛛絡み) キューティー金井×


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by right-o | 2010-08-15 19:22 | 書き物