「蜘蛛絡み」「リストクラッチ式エクスプロイダー」

 小川対栗浜戦、真帆&ジョーカー対藤原&みずき戦のあと、
 元々リーグ戦出場が決まっている二人についても、それぞれシングルでの試合が組まれていた。
 
 フレイア鏡の相手は星野ちよる。
 始まる前から結果の見えていたこの試合、鏡はあえて地味なグラウンド技につきあったり、
 ちよる込みであわやの2カウントを取られてみたりと、ちよるの健闘を意図的に演出した。
 が、ロープへ走ったちよるの顔面へカウンターのジャンピングニーを合わせたところから本性を見せる。
 さらにブレーンバスターで持ち上げると見せかけてちよるの両足をトップロープに引っ掛け、
 不安定な状態から落差をつけて強烈なDDT。
 既に青息吐息のちよるを無理に立ち上がらせ、その左脇から肩固めの要領で左肩ごと首に両手を巻きつけると、
 まず自分から背後に倒れ込んでちよるの顔面をマットに叩きつけた。
 そのままの体勢から腕を解くことなくちよるを仰向けにし、その下に自分の左足を差し込んで右腕を押さえつけ、
 最後に右足を頭に引っ掛けながら手と足を使ってちよるの首を締め上げる。
「うふふ」
 自分の足の下で苦痛に歪むちよるの顔を、鏡は相手がタップしたあとも眺め続けた。

 対して中森はエミリー・ネルソンという難しい相手と戦った。
 流石とも言うべきイギリス伝統の技術と渡り合った中森は、
 相手のバックドロップを受けた直後にエクスプロイダーを返して見せる。
 そしてダブルノックダウンを挟んでから立ち上がって向かい合うと、エミリーの右脇に頭を差し入れ、
 右腕を正面から首にかけて再度エクスプロイダーの体勢へ。
 ここから左手でエミリーの右腿の後ろを通して左の手首を掴んだ。
「なんだ……!?」
 初めて強制された姿勢に驚く間もなく、左手を固定されたまま反り投げられたエミリーは頭部をマットに弾ませる。
 相手の意識を飛ばしながらも、中森はきっちりと片エビ固めでフォールを奪った。

 リーグ戦を前に対照的な肩慣らしをおこなった鏡と中森は、
 ともに優勝者に叶えられるという願いを語らぬままリングを降りる。
 言いたくないのか、言うまでもないのか、観客には察しかねるところであった。

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by right-o | 2010-06-13 21:29 | 書き物