「イリミネーションタッグマッチ」Ⅳ

サンダー龍子・マイティ祐希子・ソニックナイト・フォクシー真帆
VS
桜井千里・草薙みこと・伊達遥


 十六夜を退場させた祐希子が真帆と交代し、残り三人の若手から伊達が出てくると、
 リング上はしばし通常のタッグマッチのように展開した。
 中央で組み合った状態から真帆が膝を入れて機先を制し、ロープへ振れば、
 跳ね返ってきた伊達はショルダースルー狙いで屈んでいた真帆の上体を蹴り上げて阻止。
 直後に真帆が思い切り顔を張り、伊達もエルボーを振り下ろしてやり合う。
 これに打ち勝った伊達が、首投げで転がした背中へサッカーボールキックを一閃。
「いッ…!?」
 思わず息を詰めて仰け反った真帆を尻目に、ここで早々とみことへタッチ。
 みことは、痛む背中のお返しをするために突進してきた真帆を、アームホイップで何度も投げ飛ばして手玉に取り、
 何度目かの起き上がり様にトーキックを入れてブレーンバスターの体勢に捕えた。
「せいっ!」
 自分とほぼ同じ体格ながら力で勝る相手を、タイミングと瞬発力で投げ切ろうとしたが、
 真帆の両足はしっかりとマットについたまま動かない。
「ぃやぁっ!」
 逆に、堪えようと踏ん張る間も与えずに真帆が一息で持ち上げ返すと、
 みことを垂直に持ったままで赤コーナーまで歩いてソニックとタッチしつつ、
 ロープ際へ平行な向きで叩きつけた。
 続けて、
「うきゅっ!」
 と、前傾しつつロープを飛び越えたソニックが、
 寝ているみことを首の後ろと背中で潰しながらリングイン。
 こうのようにして、暫く真帆・ソニック対伊達・みことの局面が続いた。

 この2チームの均衡が破れたのは、それぞれもう一度交代して真帆と伊達の戦いになった場面。
 ニュートラルコーナーに振った真帆へ向かい、伊達が串刺し式のフロントハイキックを顔面に入れ、
 さらに対角線へ飛ばして再度同じ技を狙おうとした時、真帆がこれを振り返して逆に伊達をコーナーへ貼り付けた。
 そこへ間髪入れず、真帆が伊達の腹部に向かって肩口から突っ込む。
「ごほっ!?」
 崩れ落ちた伊達を引っ張り出すと、続けて真帆の方も再び同じ攻撃を狙っていった。
 伊達を元いたコーナーへ向かって力一杯放り、その後を全速力で追いかける。
 が、伊達は前方コーナー脇のトップロープを両手で掴むと、掴んだままふわりとその場でジャンプ。
 後から来ていた真帆を自分の下に入れてかわしつつ、コーナーへ突っ込ませた。
 そしてターンバックル直前で慌てて止まった真帆の真上で、伊達は両手を放して横に回転。
 体の表裏を入れ替えながら、背中合わせになった真帆の両脇へ長い足を差し入れ、
 そのまま前に体重を預けて転がすと、ローリングクラッチホールドの体勢でガッチリ固める。
「わわわっ!?」
 真帆にとっては何が何だかわからない内に、あっさりと3つ取られてしまった。
「まずいのっ、すぐ取り返すお!!」
 カウント3が叩かれた瞬間、すぐさまソニックが飛び出したのと同時に、
 これを見越していたみことの方も走り出る。
 一直線に伊達へ襲い掛かろうとしたソニックへ、側面から飛びついた。
 ソニックの左腕へ同じく左腕、右腕へは左足で絡みついて背面へ引き倒し、両肩をつけて見事に横十字固めを決める。
 しかしタッチを交わしていないため、当然みことによるフォールそのものは意味が無い。
「うきゅきゅ!?」
 どうして対戦権の無い相手から丸め込まれたのかわからずソニックが戸惑っているところへ、
 正当な対戦相手の伊達が、その天井を向いてバタバタしている両足を抱えて前転、
 ブリッジをつくり、ジャックナイフ式エビ固めで上から押さえ込んだ。
 と同時に自分はフォールを解いたみことが、カットに入ろうとしていた祐希子へ飛び掛ってこれを阻止。
 前タッグ王者らしい、見事な連係プレーだった。
 結果ほんの二十秒ほどの間に、伊達が真帆・ソニックを連破し、
 残った人数は若手組が桜井、伊達、みことに対してベテランは祐希子と龍子の二人。
「…そろそろ本気で形振り構ってられないんじゃない?」
「だな」
 最後の二人は、ちらと視線を入場ゲートの方に向けた。

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by right-o | 2008-12-16 23:09 | 書き物