「イリミネーションタッグマッチ」Ⅲ

サンダー龍子・マイティ祐希子・ソニックナイト・フォクシー真帆
VS
桜井千里・草薙みこと・伊達遥・カラミティ十六夜

技「V9クラッチ」


 暫くの間、龍子は完全に捕まってしまった。
 何しろ四人から囲まれているため、抜け出すのも簡単にはいかない。
 そして桜井たちにとっては、これまでの鬱憤を晴らす絶好の機会でもある。
「「はッ!」」
 首投げで尻餅をつかせた龍子へ、声を合わせて後ろから桜井、前から伊達がサッカーボールキックで挟み込む。
 ドッ、と鈍い音が響いて龍子の上体が崩れた。
 すぐに伊達がカバーに入り、これは龍子がどうにか肩を上げる。
 客席からは龍子を応援する声が沸き始めていたが、歓声も今は龍子の力にならない。
(こっちが応援されてどうする)
 という焦りが増すばかりである。
「代わって」
 コーナーから手を出して十六夜が伊達と交代。
 龍子を自軍側の青コーナーに貼り付けると、串刺し式の攻撃を狙うためか、後ろに下がってやや距離を取った。
(今だ!)
 思うや、龍子は両側から自分を押さえつけている三人をバックエルボーで振り払い。
 十六夜とその向こうにある赤コーナーへ向かって突進した。
 進路上の十六夜へタックルをかけて、自軍のコーナーへ押し込みつつ交代するつもりだったが、
「んっ…!」
 リング中央を少し過ぎたぐらいで、踏ん張られて止まってしまう。
 必死で手を伸ばしても、味方はまだまだ遠い。
「ちっ」
 年かな、と思わずそんな言葉が頭をよぎった時、不意に正面で組み合っている十六夜から力が抜けた。
「悪のヒロインが、助けにきたおっ!」
 そんなことを叫びながら、ソニックが染髪した黒髪を靡かせて飛び、
 スワンダイブ式のミサイルキックで十六夜の後頭部を打ち抜いたのだ。
「うおおおおッ!!」
 ソニックのアシストを受けてどうにか十六夜を押し切ると、すぐに祐希子とタッチして交代。
「任せる!」
「オッケー、じゃ押えといて!」
 先ほど龍子がやられようとしたのと同じく、今度はベテラン側が三人がかりで十六夜をコーナーに押さえつけ、
 祐希子が助走のために距離を取る。
「いくよっ!……っと!?」
 しかし、串刺し攻撃を狙ったところで十六夜が自由な両足を前に出して迎撃。
「災厄を甘く見ないことね」
 周囲の三人を軽々と振りほどき、蹴られた顔を押えて後ずさった祐希子に対してラリアットを仕掛けた。
 が、祐希子は右手で放たれたラリアットを左脇に挟むようにして受けると、
 そのまま前方へ体重をかけて十六夜を後ろに倒しながら、
 右手で膝の裏を掬って変形の片エビ固めに切って取る。
 この一瞬の切り返しで、カウント3が入ってしまった。
「ベテランの技を甘く見ないことね」
 ソニックと並んで最も若いベテランは、立ち上がりながら小さく舌を出した。

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by right-o | 2008-12-15 21:33 | 書き物