TNA リプレイ? 3年目3月

「おい、来月はオレだろ!」
「なっ!?次は真帆の番だぞ!!」
「何を言ってるのかしら、次は私の番に決まってますわ!!」
「あたしも挑戦したいお…」
 団体にベルトが創設されて以来、霧子の忙しさはさらに増した。
 プロレスラーとは、つまり自分から進んで人前で戦おうとする物好き達である。
 要するに、わずかな例外を除いては皆「俺が俺が」な人間なのであった。
 これらの衆が、巡業前にマッチメイクをしている最中の霧子の元へやってきては、
 今度は自分に挑戦させるようにと騒ぎ立てるのだ。
 その要求は、流石にベルトという目標がかかっているだけに、今までよりずっとしつこい。
「ああもう、うるっさぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
 旗揚げから三年目の終わりに当たるこの日、ついに霧子の我慢も限界に達した。
「あなた達、プロレスラーなら言いたいことはお客さんの前で言いなさい!
 これから私に対する要求は全てリングの上で聞きます!いいですね!!」
「「は、はい…」」
 かつてない霧子の剣幕に、皆つい押し切られてしまった。
 GM井上霧子が、表に出るということが決まった瞬間である。
 が、この日はもう一つ、選手達にとってはこれよりも遥かに重大な、
 ある変化が団体にもたらされた日なのであった。
 突然、いつものようにGM室の部屋がノック無しで開け放たれたが、
 入ってきたのは来島ではなく、新人の小川ひかる。
「た、大変です!!」
 平素は礼儀正しいはずの彼女が、珍しく息を切らして駆け込んで来たのだ。
「リングが、リングが…試合用のも、練習用のも…!!」
 Total Nonstop Angels。
 この、何が言いたいのかよくわからない名前の団体、
 その真の旗揚げはここから始まった。

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by right-o | 2008-11-09 22:39 | 書き物